ママzルームを立ち上げた経緯




概略


幼稚園の頃からよく怒られていました。怒られる理由が分からなかったので、褒められている人の真似をしたら、私も褒められるのかな?と考え、真似をたくさんしたつもりでしたが一度も褒められたことがありません。唯一、近所の小さい子供たちと遊ぶとなぜか褒められていました。 今振り返ると、上手に子守りをさせられていたのでしょうね。 幼稚園の先生の顔は唇でした。 私の視界は望遠鏡をさかさまにしたような感じだとよく専門書で紹介されていますが、自分ではそれが当たり前なのでどれが望遠鏡をさかさまにした顕微鏡のような見え方なのかわかりませんが、ピンポイントで先生の唇だけの映像が頭の中に残っています。同じような唇をした人に、幼稚園を卒業して小学生になったころ出会う度に話しかけ「違います」と必ず言われていました・笑 今も人の顔を覚えることは苦手ですが、自分の身長も高くなり視界に入る範囲が広くなったため、少しはわかるようになったと思います。


小学校の頃は、休み時間の過ごし方や友達の誘い方が分かりませんでした。休み時間のたびに外に行く男子について外に出ていました。教室で女子が集まって休み時間の時に話をしていたようでしたが、用もないのにそこにいく、話に行くという理由がわかりませんでした。今振り返るとたわいもない話だったり、こちらが用がなくても、相手の気持ちを聞いたり、様子を聞いたりしてもよかっただろうにそういう発想は一切なく、「私が○○だから」ということがまずはいつも念頭にありました。きっと、自分以外の人にも気持ちがあることを説明を受けたり教えて頂いたことがなかったからだと思います。 授業では掛け算のひっ算に困りました。 2×3や31×2などはできるのですが、これが逆になったらできないのです。 それを先生に説明するのがどのようにしたらいいのかわからず、いつもさぼっているように見られていました。また私はへらへらしている顔らしく、困っているように周りからは見られにくいようで、困るってどんな顔なのだろうと考えたこともあります。


中学年や高学年になると、いよいよ友達とのコミュニケーションが分からなくなりました。 二人組を作ってくださいと言われる時が一番困ります。 二人組って・・誰に何を言ったら作れるの? そんな風に思っていて、二人組を作りなさいといつ言われるのか怖くて怖くてたまらずいつの間にかトイレに何度も何度も行くようになりました。 二人組づくりの地獄は高校生になるまで続きました。 その他にも、友達との会話で内緒にしていてねと言われた後、別のクラスメイトから正直に言ってねと言われたら言ってしまいます。 もちろんクラスメイトは信じられない!と怒り、いじめが始まるのですが、「ん?」 私は当然、「言われた通りしただけだけど?」と何が何だかわかりませんでした。


大人になった今は、プライベートなことは言わないなど、話してくれたことには時と場合がある事や別の意味があることなどわかるようになってきましたが、本当に女子との付き合い方は苦労しました。 ママ友など複数でランチをするときなどは、正直今でもわからないことばかりです。笑 大人になって子供が生まれたときも、分からないことばかりでした。 時間、季節、人に話すタイミング、営業マンが来た時の断り方、収納の仕方、休憩の取り方、余暇時間の使い方など、、、 学生の集団生活や家族ができた時の共同生活。 本当にみんなとリズムを合わせて生活をしていくことはこんなにも大変なことなのだと今振り返っても、考えることばかりです。


よく、自閉症の人は自分中心、他者の気持ちがわからない、人に興味がないなど言われますが、私は全く違うと思います。 自分中心だと思われるのは、相手にスケジュールがあることを知らないだけ。 相手の気持ちがわからないと思われるのは、自分以外の人が自分と違う気持ちだということを教えてもらっていないだけ。 人に興味がないと言われるのは、興味があることに集中しすぎて周りと何かをするときにそれができないだけ、また、人の誘い方、人との遊び方がわからないだけ。 共感してもらったり、一緒に物事を成し遂げたり、必要としてもらうことを嫌いな人なんているのでしょうか? ほんのちょっとだけ、脳の作りが違って今のこの社会で生きていくのが困難なだけなのです。 ほんのちょっとだけ、自閉症の人がどんな思いでその行動をしたのか寄り添って欲しいだけなのです。そしたら、きっとハッピーな共存共栄の仕方が見つかると私は思っています。


今、私は自分の経験を通して、ママzルームという活動を立ち上げました。 簡単に言うと、自閉症スペクトラムの方を支援する方、保護者の方の駆け込み寺的な活動です。 子供さんを育みながら対応に困った時や、どのような福祉制度があり生活の中で活用していけばいいかなど困った時に利用して頂き、当事者の体験・感じ方をお伝えし、解決へのヒントを導き出すきっかけを御提案できたらと思っています。


この活動を通し、ほんのちょっとでも自閉症スペクトラムの方々の気持ちに寄り添って下さる人が増えたら、とても嬉しいです。